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wassho

月を溶かした夜に

elcxeno

 

「最初は子供扱いされたんだと思ったよ」


しかし、それが彼なりに歩み寄って来てくれた証なのだと気付くのに、そう時間は掛からなかった。乳白色の波間に揺らめく表情も、以前よりずっとずっとやわらかい。


「でも、ただ甘い物が好きだっただけなんだなって」

にやりと揶揄ってみせる。それに困って笑う声は、カップの底で沈んだ蜂蜜みたいにいじらしくて、優しかった。

どうしても苛烈でいなくてはならない、どうしても冷静にすべてを見渡さなければならない。少なくとも太陽が昇っている間は。だからこんな風に、友人が穏やかでいられる夜の時間がエルクは愛おしい。例え頭上に大敵が輝いていたとしても。


温かな飲み物と緩く弧を描いた口元をどうかいつまでも。


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